K6AエンジンOH(腰下組立#2 クランクシャフト)
休日少なめ残業多め
薄給のサラリーマンがエンジンのオーバーホールをする
これって想像以上に時間がかかるんですよ。
言い訳はそのへんにしといて
ここから本題です。
シリンダブロック:
クランクシャフトベアリング(以下ベアリング)の取り付け面を脱脂します。
間違ってもエンジンオイルを塗布してはいけません。
シリンダブロックにはオイル溝のあるベアリングを装着します。
ベアリングは特に異常が無かったので再使用しています。
スラストベアリング:
エンジンオイルを塗布します。
矢印:
スラストベアリングはオイル溝をクランクシャフト側に向けて2番と3番のシリンダ間にエンジンオイルの粘着を利用して貼り付けます。
ベアリングの溝にたっぷりエンジンオイルを垂らしてクランクシャフトを置きます。
位置決めのピンにエンジンオイルを塗布します。
矢印:
ピンはこの位置に嵌め込みます。
ロアクランクケース:
ベアリングの取り付け面を脱脂します。
ロアクランクケース側にはオイル溝の無いベアリングを装着します。
ベアリングは特に異常が無かったので再使用しています。
クランクシャフトベアリングの油すき間(あぶらすきま)を計測します。
矢印:
プラスチゲージをジャーナルの幅と同じ長さに切ってシャフトと並行になるようにジャーナルの上に置きます。(4箇所)
ボルトM10(8本)とM8(8本)のネジ部にエンジンオイルを塗布します。
写真ではボルトM8が4本しか写っていませんが気にしないで下さい (^^;
M10もM8も12角のソケットを使用します。
T型レンチで軽く締め付けます。
ボルトを整備書に従って締め付けます。
注意:
絶対にクランクシャフトを回してはいけません。
締め付ける順番は下表の通りです。
1~8(M10ボルト) 締付トルク
- 1回目:40N・mで締め付ける
- 2回目:締め付けの逆順にトルクが0(ゼロ)になるまで緩める
- 3回目:40N・mで締め付ける
- 4回目:57N・mで締め付ける
9~16(M8ボルト) 締付トルク 24N・m
この状態で3分以上待ちます。
ロアクランクケースを取り外して
プラスチゲージの外袋に印刷されている目盛で計測します。
油すき間
基準値:0.020~0.040mm
限度 :0.065mm
1番:
0.025 基準値内です。
2番:
0.038 基準値内です。
3番:
0.038 基準値内です。
4番
0.038 基準値内です。
ベアリングの油すき間が基準値内でしたのでこのまま本組付けします。
ロアクランクケースの合わせ面に液体ガスケットを塗布します。
シリンダブロックに取り付けます。
M8ボルトはプリコート剤が塗布されているので再使用不可です。
M10ボルトは再使用可ですが新品を用意しました。
締め付ける時はネジ部にエンジンオイルを塗布します。
締め付け順と締付トルクは前記の通りです。
- M10ボルト
純正品番:11117-73G00 ボルト,10X95
購入価格:2048円(8本) - M8ボルト
純正品番:1261-73G01 ボルト,8X59
購入価格:985円(8本)
梅雨の湿気から守るために室内で保管します。
写真をよく見て頂ければ分かると思いますが一番外側のM8ボルト(4箇所)を付けていません。
理由はピストンを取り付けた後にバッフルプレートを装着しますがそのバッフルプレートと共締めになるのでボルトを外したままにしています。
+++持論+++
- クランクシャフトベアリング編
よくオーバーホールついでに新品に交換する人がいますが目視で異常無くクラッシュハイトに問題が無ければ再使用する方が良いです。
基本的にベアリングは油圧によってフローティングされているので直接クランクジャーナルが接触して摩耗するパーツではないからです。
問題が無ければ問題の無かった部品をリフレッシュして再使用する。
その方が新品よりリスクが少ないと考えます。 - クランクジャーナルのラッピング処理編
よくオーバーホールついでにジャーナルをピカピカに磨き上げる人が居ますが目視で異常が無ければ何もしないで組付けた方が良いです。
磨き(削り)過ぎると油すき間が広がります。
ラッピングしているつもりが結局のところ磨いて光らせて自己満足で終わるケースです。ラッピングではなくポリシングです。
異常が無ければ敢えて何もしない。
手を加えて性能低下に陥るリスクが増えるだけだと思っています。
それでは今日はこのへんで (^O^)